非上場会社の従業員持株会の解散(廃止) - 自己株式取得とみなし配当 

 従業員持株会の運営が上手くいかない。
 退会者が続出し、一方で、新規入会が少ない。
 配当なり奨励金なりを増やせば新規入会は増えますが、これをするゆとりが会社にない。
 こうなると、持株会の解散(廃止)が視野に入ってきます。

 まずは、各会員の持株を会員に分配して解散したらどうでしょう。
 これならお金は要りません。
 しかし、多数の個人株主が出現します。
 株式の譲渡制限や相続人に対する株式の売渡請求という制度は、思ったほどは役立ちません。
 そこで、持株会の株式を自社で買い取り、解散しよう、となります。

 あるいは、従業員持株会の制度を抜本的に変えたい、とか、会員毎の持株数に大きな偏りがあるので一度リセットしたい、といった場合もあります。
 この場合には、現持株会を解散し、新持株会を新設することが考えらます。
 新持株会に株式を移すため、いったんは自社が現持株会から自社株を買い取ろう、となります。

 しかし、自社が株式を買い取るのは、とてもハードルが高いのです。
 それは、売手である持株会の会員に、みなし配当が生じるからです。
 具体的には、株式を売った会員には、次の二つの課税がされます。

みなし配当 = (1株当たり譲渡額 - 1株当たり資本金等) × 株数
 →総合所得として累進税率(最高55%)で課税
  所得に応じ、みなし配当の12.8%または6.4%を税額控除有り

 譲渡所得 = (1株当たり資本金等 - 1株当たり取得費)× 株数
  →20.315%の分離課税

 1株当たり資本金等というのは、平たく言えば、株主がこれまで出資した金額です。
 (組織再編等あれば色々と動きます。)

 それで、問題となるのは、次のようなケースです。

 オーナーが1株100円出資で会社を設立
  → 業績が好調で内部留保が増える
  → 持株会株価1000円(固定)で持株会開始、オーナーが持株を持株会に売却
  → 持株会が上手く行かなくなったので、会社が1000円で買い取ることに

 この場合、

 みなし配当 = (1000円 - 100円)×株数

 となります。
 これに応じて所得税等を納めねばなりません。
 しかし、会員は1000円で買ったものを、1000円で売っただけなのです。
 何故こんな理不尽な仕打ちを受けねばならぬのですか、私がいったい何をしたというのですか、と怒るでしょう。

 そして、これまで退会してきた会員には、このような課税はされていないのです。
 売却先が持株会であれば、みなし配当は生じません。
 それで、会社と持株会を信じて最後まで残ったきたのに、信じた者のみが損をするという仕打ちがあるでしょうか、と怒るでしょう。
 確かに、それはもっともです。

 さらに、みなし配当には源泉徴収(20.42%)も必要です。

 自社株買いは、その他にも問題があります。
 自社が、株式を安く取得したとして受贈益課税がされるのではないか。
 これについては、課税あり説と課税なし説があり、当局は10数年、下を向いて沈黙を続けています。
 また、持株会以外の株主に、その持株を買い取るよう請求する権利があります。
 これを行使する株主が出てくると、いよいよ混沌としてきます。

 さて、それで、持株会の株式の受け皿を、自社以外で検討するのですが、なかなか現実的なスキームがないのです。
 これまで何回も考えてきたのですが・・・・・。
 でも、探求を続けていれば、そのうち何かが浮かぶかもしれません。

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