インボイス制度導入後も免税事業者は消費税を請求できる?

 インボイス制度導入後も、免税事業者は取引先(得意先)に対して消費税を請求できますか?
 この質問に対しては、これを否定する法律はないので請求できます、という回答もあるかもしれません。
 法律の解釈を含め、税務当局の考えは、以下の通りです。

1.免税事業者の売上(請求額)の中には消費税は含まれない
2.免税事業者は、取引に課される消費税がないことから、請求書等に「消費税額」等を表示して別途消費税相当額等を受け取るといったことは消費税の仕組み上、予定されていない
3.上記の通りなんですが、請求書等に「消費税額」等を表示して別途消費税相当額等を受け取ることを禁止はしない(興味がない、どうでもいい)
(1~3の詳細は下記をご参照下さい)

 しかし、上記は税務当局と免税事業者と間の話です。
 そして、取引先(得意先)との間で、消費税額を請求する権利が、免税事業者に認められる(保障される)という話では、全くないのです。
 例えば、免税事業者が取引先(得意先)と交渉をして、A商品の売値が10万円で決まったとします。
 この場合に、これに消費税(10%)を乗せて、11万円を請求できる権利が免税事業者にあるという訳ではないのです。
 取引先(得意先)には11万円を支払う義務はありません。 
 ここは再度の交渉が必要なのです。

 そして、法律上の正論としては、上記の1、2がベースになっています。
 従い、10万円で話の着いた免税事業者に11万円を請求されるとすれば、取引先(得意先)はイラっとし、「めんどい奴」と認定されてしまうと思います。
 法律上の正論を話して、10万円しか支払いませんと伝えるのも疲れます。

 そのような訳で、免税事業者としては、11万円欲しければ、最初から11万円で交渉すべきと思います。
 そして、請求書には「A商品10万円消費税1万円」でなく「A商品11万円」と記載した方がすっきりしますし、印象が良いと思います。

 一方、取引先(得意先)の側では、免税事業者がこのような誤解をしてこないように、価格交渉の場面や契約書では、「10万円(消費税相当額を含む総額)」といった表現を用いるのが良いかと思います。

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